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第4回 : 金融を大切にしつつ、金融の垣根を壊す。「レガシー」なきハヤテの挑戦
柳川範之氏(東京大学大学院経済学研究科 教授)
× 杉原行洋(当社代表取締役)
柳川範之氏
1963年生まれ。東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。中学校卒業後、父親の海外転勤に伴い、ブラジルで独学生活を送る。大検を受け、慶応義塾大学経済学部通信教育課程へ入学し、シンガポールで独学生活を送る。大学卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。
最近の主な関心分野は、法と経済学、働き方改革、AI と働き方、フィンテック。 政府の審議会・研究会メンバーとして政策立案にも参加。勉強法や経済学のやさしい解説を積極的に行っている。著書『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)、『東大柳川ゼミで経済と人生を学ぶ』(日経ビジネス文庫)、『経済の考え方がわかる本』(岩波ジュニア新書)等がある。
第4回 : 金融を大切にしつつ、金融の垣根を壊す。「レガシー」なきハヤテの挑戦
杉:当社の事業の根幹にあるキーワードが「対話」です。意思決定(判断)の一歩手前には常に、社内に「対話」があります。
アナリストが興味をもった企業を選定すると、そこから実地の調査が始まります。当社は「現地・現物・現場への徹底的な調査」を志向しており、アナリストは一人年間1,000件を目標に投資先候補の経営陣の皆様と面談を重ねています。そこで得た情報と記録を持ち帰り、徹底的にチーム内で議論(対話)をする。これらの面談記録や社内での議論の中身も解析対象にしたいのです。
それが、世の中に公表されていない、「独自データ」だと。
杉:はい、それこそが当社に固有の、世界に二つと無いデータだと思っています。金融業界は株価データ、取引データ、財務情報等のビッグ・データが豊富であるがゆえに、それらに飛びついてしまいがちです。巷にAIファンドと呼ばれるファンドが溢れかえっていますが、私の知る限り、すべて公表されているビッグ・データを解析しているのではないでしょうか。
だから、「ハヤテにしかないものは何だろう」と考えた結果、ここにしかない「過去1万件を越える企業調査の記録」と「それを基に行われた議論の変遷」と定義しました。現象を説明するための質的情報を実証分析するという社会学的なアプローチを視野に入れ、意思決定のプロセスの解析にAI等を適用するというのは先進的かもしれないと考えています。
なるほど。恐らく面談記録は一つの脳における情報処理の結果のアウトプットですが、社内での議論は少なくとも二以上の脳の相互作用である、と。「7SIGMA」は脳の社会的な機能解明に対する挑戦であると言えるかもしれませんね。
人と人の間にある「言葉にならないもの」の解析
杉:更に言えば、その「解析すべき何か」は会話のようにテキストに落とし込めるものだけではないかもしれません。たとえば議論について言えば、声量も重要な変数かもしれません。自信満々に「買いです」という場合と、か細い声で「買いです」という場合は同じではない。そういった文字にすることで捨てられる情報も拾えれば、解析の解像度は上がります。もっと言えば、発言した瞬間にどう脈拍が変化したかなどのバイタルデータも取得したいと思っています。これらを言語化された投資情報とともにディープラーニングにかけたら本人も気づいていないアウトプットが得られるかもしれません。
現在、我々はTensorflowを利用していますが、その利用には画像関連の既存事例が多く見られます。それらの知見を利用したければ、文字情報だけではなく、画像情報として扱い得るデータを手掛ければいいと考えています。先ほど触れた声のトーンの変化も、脈拍の変化も、波で表現できますのでその範疇に入れられるのではないでしょうか。このように、当社のエンジニアには斬新なアイデアをもって、まだ誰も手がけていないような開発に挑戦してもらいたいと思っています。その一つとして、人工知能「スギロボ」も開発したいと思っています。
スギロボ?
杉:チーム内でのプロジェクトの名称でもあり、社内での私のあだ名でもあります(笑)。もともと私の意思決定スタイルがあまりに一定していてロボットのようだ、ということで「スギロボ」と呼ばれておりまして。 それを、社内の意思決定プロセスをサポート、あるいはセミオート化するチャットボット、かっこよく言えばワトソンのような人工知能として実装できないかと。
そこで、私の発言を観察してもらったところ、どうやら質問には大きく3つのレイヤーがあるようでして、構造化できそうな感触を得ています。そうであるならば、その構造をチャットボットに実装できるのではないかと考えています。
そうすると、議論の相手としてのCIOの機能が一部代替できるということですか?
杉:はい、そういう利用もできますが……どちらかというと、教育の視点で開発を進めています。
教育ですか?
杉:はい、教育です。金融、特に運用の世界は非常に属人的な世界です。勝てる人は勝てるが、なぜ勝てるのか言語化できない。それはすなわち後進を育成できないということでもあります。逆にいま言語化できていないものをできるだけ言語化できれば、教育に役立ち、それによりビジネスの属人性を下げられます。また、職人技に頼らず、アナリストが適切な教育を受けて、セクター・マネージャーになり、ゆくゆくはポートフォリオ・マネージャーになる。そんなキャリアパスを明確に描ける業界にしていこうと。
業界に、ということはそれをハヤテの外にも広げるということですか?
杉:はい。ハヤテの外どころか金融業以外の業界にも広がれば、という世界観は持っています。例えば、ハヤテ流の強みが特徴量として抽出できた場合、その解析プロダクトにより、究極的にはトヨタ様、ソニー様の強みも抽出できると思いますし、企業文化を言語化することもできそうです。我々が開発したプロダクトがプラットフォームとしてあらゆる企業に普及して、それぞれの組織の強みや特徴が言語化されれば、それを育むことで、それぞれの型、それぞれのあり方で輝いていくことができるはずです。
なるほど。その型の分かれ方、つまり何を軸としてどういう型が違ってくるのかを解き明かすのがファーストステップですね。
杉:おっしゃるとおりです。
そこは結構、大変な気がします。あなたと私とどこが似ていて、どこが違うのか。ある程度の軸を決めないと、似ている点も相違する点も話せない。
杉:そうですね。
AmazonやGoogleのように「本質的な垣根」を壊しにいく
お伺いしているかぎり、各社の強みのポイントをそれぞれ探し合うことで、共通の軸の違いみたいなものが出てくるであろう、という発想なんでしょうか。
杉:はい、そのご指摘の軸が、まさに特徴量として出てくるのではないかと。たとえば、ハヤテ流を説明する特徴量が仮に3つ出てきて、XX社に2つあって、YY社に5つあったとします。これをマッピングしていくと、帰納的にこの群とこの群という風に特徴量の種類がグルーピングされていき、それが「軸」となり、自分たちの立ち位置が相対化できるはずです。そうして差別化つまりユニークさの追求が始まるのだと思います。
一方で、他業界の成功企業の特徴量(軸)が自社の軸に極めて近いと気づいたときは、その業界での成功確率が高い可能性があり新規参入も検討しうるのだと思います。このように企業に変革をもたらすプロダクトを開発できるかもしれません。
これからの時代は金融と非金融の垣根がどんどん下がり、もしかしたら「金融産業」と言われるもの自体が無くなってしまうかもしれない。そういう意味では、御社がやっていることは、必ずしも金融、運用にこだわるわけではないところに価値があるのかもしれませんね。
杉:はい。我々は今までもこれからも金融事業を大切にしていきます。一方で、これだけに固執するわけではありません。
通常、垣根が壊れるのは、その他のビジネスが金融に参入するとか、金融機関がシナジー効果を狙って他のビジネスに進出するという、比較的下の方のレイヤーなんですが、「7SIGMA」はもう少し上の、日本の中では割りと珍しいタイプの垣根の壊し方ですよね。
杉:ありがとうございます。
AmazonやGoogleは割と上の方で垣根を壊すことも狙っているわけですよね。
杉:そうだと思います。ご指摘のような企業でいえば、「小売」と捉えると見逃す本質、「情報の検索エンジン」と捉えると見落とす破壊力といいましょうか。彼らは隣接する事業に安易に参入しているわけではない。我々もそんな風に垣根を越える存在になれたらと思います。
非常に高いゴールを掲げたとき、そのゴールの高さゆえに、ゴールにたどりつく途中の段階でも何かしらの成果が出てくる。そんなこともあります。
杉:はい、長期と短期のバランスを意識し努力したいと思っております。よくも悪くも当社にはレガシーがありません。システム面もビジネス面も。オープンソースを活用し、新しい技術に挑戦していくチームを作っていきます。PythonやTensorflow等の最先端技術を使いこなすリサーチャーだけでなく、フロントエンドやバックエンドの技術をすでにお持ちで、これから最先端の技術を習得していきたいという開発者の方にもチームに参画して頂き、ともに高い目標に挑んでいきたいです。本日は、有難うございました。